INTRODUCTION
プロジェクト概要
solaRail(ソラレール)は、千葉の空を走る懸垂型モノレールのインフラ風景を、
市販のプラレール規格に合わせて再現・拡張する、個人によるエンジニアリング・プロジェクトです。
3Dプリンティング技術を用い、「車両のための線路」でありながら、
「線路そのものも鑑賞対象となる作品」として成立させることを
目指し、設計、試作、実動テストを繰り返しています。
PHILOSOPHY
見上げた空の、あの憧れを。
机の上に車両を走らせたとき、痛感したのです。
「車両だけでは足りない。あの空のインフラ(軌道)が絶対に必要だ」と。
千葉の街でふと見上げた、あの日常の風景。
その圧倒的な存在感への憧れこそが、我々の原体験です。
太陽[Sola]の光を浴び、青空[Sora]を縫うように走る巨大な構造物。
現存する路線、そして既存製品への深い敬意を払いつつ、その規格の枠内で、
リアルな構造、ダイナミックな勾配、複雑な分岐をどう実現するか。
これは、模型の領域を超えた、エンジニアリングへの果てしない挑戦です。
- pumpcurry / solaRail Developer
ENGINEERING PROCESS
矛盾への挑戦と、試行錯誤の軌跡。
千葉のリアル vs プラレールの機構
我々が再現したい我が街のモノレールは、箱型の軌道桁の中を走行するSAFEGE(サフェージュ)式と呼ばれる構造です。
しかし、走行させる「プラレール車両」は、レールを外側から挟み込む、全く異なる機構を持っています。
この「外観のリアルさ」と「走行機能」の矛盾をどう両立させるか。我々の解答は、二重構造によるエンジニアリングでした。
【実物: SAFEGE式】
箱型桁の内部を走行する方式。
雨風の影響を受けにくく、騒音も少ない。
走行輪は桁内の軌道上を転がる。
【既存: 懸垂型プラレール】
レールを縦に使い、左右から挟み下から駆動輪を当てる方式。
上下ビーム間が狭く、タイヤとの隙間は約1.0mm。
構造の遊びが少なく少しのズレで接触・スタックが発生しやすい。
【解答: Core Rail構造】
規格レールを「核心(Core)」として内包。
内部空間を拡張・確保し駆動構造の接触リスクを低減。
「門型」の外観でリアルさを担保する。
「Core Rail」構造と「1.5mmの内壁」
既存の懸垂型プラレール車両は、直径5mmの小さなタイヤでレールを挟み込み、さらに下からバネ機構付モーター駆動輪を上向きに押し付けて走行する構造を持っています。この機構上、レールの「溝」部分には、上下あわせてわずか2.8mm(片側約1.5mm)程度の余裕しかありません。
本来のプラレールでは子供たちが遊ぶためにかなりの余裕と空間猶予があるはずなのですが、懸垂式モノレールにかぎって、この駆動システムが内部構造の猶予「1.5mmの内壁」に衝突してしまい、勾配構造に弱くレールの境目のわずかな凹凸でさえ走行不能(スタック)の原因となります。
solaRailの「Core Rail構造」は、内部にプラレール規格を内包しつつ、レール上側までのビーム間隔を意図的に拡張(10mm~15mm)しています。これにより、上部タイヤのクリアランスに余裕を持たせ、レール間の隙間による上下振動や勾配移動時のレール内衝突を防ぎます。また、外側の門型構造のリアルな外観により、外部衝突や駆動部の噛み込みから守ることができ、見た目と実用的な走行性能の両立に成功しました。
※下部ビームとタイヤ間のクリアランス仕様は、「車両側の駆動仕様」に依存するため、この制約のためレール底面を含む形状は変更できませんが、走行性能対策をおこなうことでさまざまな問題に対処しています。
北の大地からのブレイクスルー。
元来の製品の走行システムは、「単線」での運転のみが可能で、「一時停止機能」や「ポイントレール」はありません。しかし、千葉の空はほぼすべてが複線区間。複数の電車を走らせるには、ポイントレールや複線機構が必須となってきます。
当初、実機同様の可動関節や上下スライド式や回転式など、さまざまな駆動形式を模索しましたが、幅約6mmかつ厚さ2mmの逆T字型レール部を細かに変形させたり回転させたりすることは困難を極め、素材の変形限界や摩耗問題に直面し、うまくいきませんでした。
しかし答えは、札幌市営地下鉄南北線の車庫にありました。「トラバーサ式転てつ器」です。これはレールを曲げるのではなく、分岐部のレール全体を載せた台座ごと平行移動させる大胆な方式です。
[Simulation] PNL-270 Switching Logic
🔗 参考文献:北海道ファンマガジン - 札幌地下鉄のポイント切り替え↗
この発想の転換により、微細な変形機構を排除。「レール全体を動かす」ことで精度問題を解決し、不可能と思われたN字型複雑分岐を実現したのです。
これらの矛盾への挑戦と試行錯誤の末、
一つの論理的なシステム規格が
導き出されました。
CORE MECHANICS
試行錯誤の果てに導き出された、システム規格
DOUBLE LAYERED STRUCTURE
二重構造の結論。
「千葉のリアル」と「プラレールの走行」という矛盾を解決するために生まれた、Core Railを内包する独自の門型断面構造。実機さながらの「ぶら下がり感」を実現。
SYSTEM 216 (Length)
プラレール規格との完全同期。
千葉の街並みを再現するには、地上の路線との共存が不可欠です。プラレール規格の基本直線長「216mm」を基準単位(1U)として採用し、並走と共存を可能にしました。
ELEVATION Z (Height)
ダイナミックな空間設計。
千葉駅や都賀駅周辺のような、既存インフラを跨ぐダイナミックな上下移動を再現するため、「1Z = 66mm」(ブロック橋脚規格準拠)を高さの基本単位として採用。力強い特徴的な立体交差を実現します。
※各図の表記は単位系の概念を示しています。実際の製造寸法とは異なることがあります。
DEVELOPMENT LINEUP
システム・アーキテクチャ(開発中規格)
STRAIGHT RAILS
システムの中核となる直線群。基本長216mmを中心に、長さの異なる調整用レールを展開。
- S216 1.00U (216mm)
- S108 0.50U (108mm)
- S54 0.25U (54mm)
- S27X End-rail 0.125U (27mm)
CURVE RAILS
6複線まで対応可能なシステム曲線。90mmピッチで設計され、複雑な並走シーンを構築可能。
- C126-45 R=126mm
- C216-45 基準 R=216mm
- C306-45 複線 R=306mm
- C396-45 R=396mm
- C486-45 R=486mm
- C576-45 R=576mm
- C666-45 R=666mm
TURNOUTS
トラバーサ方式(平行移動式)を採用した特殊分岐器。R152.1mm/45.24°のS字カーブを用いた片渡り(Crossing)と単純分岐(Turnout)を用意。
- PNL/R-270 Crossing (L=270mm)
- PYL/R-108 Turnout (L=108mm)
HANGERS & PIERS
桁(Hanger)、ヘッド(Head)、柱(Column)、足(Base)からなるモジュール式橋脚システム。接続部の形状により組み合わせを制御。
- H-HNG Beam Unit (W=196/108)
- H-HED Head Unit (1/2-way)
- H-MID Column (Standard)
- H-LEG Base + Column (1Z)
Naming Rule (Joints)
- 90xx
- ■ Square Top
- 45xx
- ◆ Diamond Top
- 60xx
- ⬡ Hex Top
- xx90
- ■ Square Btm
- xx60
- ⬡ Hex Btm
FAQ
よくある質問
Q. ソラレールは、どんな風景をイメージしているのですか?
A. 千葉の街の上を走る懸垂型モノレールの風景をイメージしています。 駅前をまたぐ高架や、大きくカーブしながら進む線路など、 見上げると目に入る「空のインフラ」としてのモノレールを、机の上で表現したいと考えています。
Q. どのようにレールを作っているのですか?
A. 3D CAD でレールの断面や寸法を設計し、それを FDM方式の3Dプリンタで出力して試作しています。 実際に車両を走らせながら、強度や走行のしやすさを確認し、0.1mm単位の細かな調整を続けています。
Q. 対応車両は何を想定していますか?
A. 現在はタカラトミーから発売されている懸垂型モノレールタイプのプラレール車両(アーバンフライヤー型など)の走行を想定して設計しています。車両そのものは公式製品であり、solaRailはその走行環境を独自に拡張する試みです。
🔗 参照:タカラトミー公式(鉄道会社オリジナル車両)↗
※当サイトは販売情報を扱いません。製品情報は参照先をご確認ください。
Q. 今後、どのようなことに取り組んでいく予定ですか?
A. 勾配や分岐のバリエーションを増やしつつ、駅や支柱まわりのディテール表現も進めていく予定です。 将来的には、信号や運転制御の表現も含めて、空を走るモノレールの世界をより深く描けるようにしていきたいと考えています。
ARCHIVE / GALLERY
開発・展示記録
【前面展望】グランシップトレインフェスタ2025│高架線内回り”ひのとり”
Provided by Sazanami Networks斜路レール(アップダウン) 開発進捗テスト走行
Dev Log @pcb千葉市役所展示:実車を背景にした再現走行
Dev Log @pcb磁石センサーによる自動停車機能デモ
Dev Log @pcbN字型ポイントレール(トラバーサ式)完成デモ
Dev Log @pcb
初期レール設計WIP:坂道実験の原型モデル
Dev Log @pcb※動画提供:チャーキーと愉快な仲間たち / Train Channel (Sazanami Networks)
PROJECT TIMELINE
活動の記録と、未来への展望。
FUTURE ROADMAP (2026)
- 2026.05: グランシップトレインフェスタ2026にて展示予定。駅およびアップダウンのあるレイアウトを実働展示。
- 2026.05: センサーによる駅停止システムを開発中(グランシップにて公開予定)。
- Development: 信号機による交通制御システム、フクロウ交番前等の複雑な分岐再現、勾配ユニットの標準化。
千葉市文化センター「ちばさぽ交流サロン」出展
千葉市民活動支援センター主催「家族で遊ぼう!家族で学ぼう!」にてsolaRail展示。
蘇我コミュニティセンター「まなぼうさい」出展
防災イベント「まなぼうさい」4Fプラレール展示にあわせてsolaRailを展示。2026年初の展示。
斜路レール(アップダウン用)開発進捗
2.75U(594mm)で1Z(66mm)上がる勾配レールの出力と走行テストに成功。千葉のダイナミックな高低差再現への大きな一歩。
ゆみーる鎌取にて展示
さざなみネットワークス様のイベントにてsolaRailを展示。
千葉市役所にて展示
さざなみネットワークス様と共同で、千葉都市モノレールの再現レイアウトを千葉市役所にて展示。市役所前のモノレールを背景にソラレールが配置でき、念願の「親子」写真撮影が叶う。
蘇我コミュニティセンター「そがこみ」出展
3日間にわたり実動レイアウトを展示。開発中の分岐レールのデモンストレーションを実施。
磁石センサー停車機能 完成
磁石センサー回路によるモーター電力遮断で、狙った位置での停車に成功。行き違い運転への布石。
N字型ポイントレール 完成
トラバーサ方式を採用し、懸垂型モノレール特有の複雑な分岐構造を再現した量産可能な試作品が完成。(既存の市販レールにはない構造としてプラレール向け懸垂型複線ポイントはおそらく世界初)
グランシップトレインフェスタ2025 初展示
solaRailプロジェクトとして初となる実動展示を実施。多くの反響を得る。
橋脚台座システム完成・設計完了
66mm(1Z)ごとに高さを変えられる台座システムと、N字ポイントレールの基本設計が完了。基本理念が確立され、ソラレールと命名される。
PROJECT STARTED
千葉都市モノレールプラレールの一般販売開始による入手容易化を機に、開発プロジェクトが始動。さざなみネットワークス様との協力関係がスタート。
TESTED / VERIFIED
エンジニアリング実証記録
TECHNICAL APPENDIX
技術用語集・補足
- Core Rail Structure ↑
- 外観のリアルさと走行機能を両立させるため、solaRailが採用した二重構造の名称。
詳細は ENGINEERING PROCESS セクションを参照。 - SAFEGE (サフェージュ式) ↑
- 千葉都市モノレール実機が採用している、箱型軌道桁の内部をゴムタイヤで走行する懸垂式モノレールの方式。
🔗 参照:千葉都市モノレール公式「車両紹介」↗ - トラバーサ式転てつ器 ↑
- レールの分岐方式の一つ。レールを曲げるのではなく、分岐部のレール全体を載せた台座ごと平行移動させて進路を切り替える。
詳細は ENGINEERING PROCESS セクションを参照。 - Dynamic Cant (カント) ↑
- カーブを走行する車両の遠心力を打ち消すため、線路の内側を低く、外側を高く傾斜させる構造。solaRailではリアルな走行感のためにこれを実装している。
- 1U / 1Z (Unit / Z-axis) ↑
- solaRailの設計基準単位。1Uはプラレール規格の基本直線長(216mm)を指し、1Zはブロック橋脚規格に準拠した高さの基本単位(66mm)を指す。
詳細は CORE MECHANICS セクションを参照。